光明寺 佐光慈豊和尚のテレホン法話
線香について(平成18年9月号)
- 今日彼岸菩提の種を蒔く日かな 蕪村
お花、水、線香を持ち、一家揃ってお墓参りに行く風景は実によいものでございます。
そこで今日は、お線香についてのお話をします。
私がよく聞かれることの一つに、お線香は何本あげるのがよいかという質問です。
仏教では、仏の供養の方法に外の供養と云って、香・華・燈・塗の四つの方法があります。
第一の香を供える供香という作法から日常化されて線香が考案されたのです。
供養とは自ら仏に近づいてゆく方便で、それには菩提心が必要不可欠なのです。
だから、何本という形式の問題ではありません。真心こめて一本あげればそれでよいのです。
が、風のない日なら、まとめて一束あげれば、香の煙が墓地一ぱいに漂う風情となり、それもよいでしょう。
しかし、仏壇などでは、よいお線香を仏・法・僧の三宝にあげましょう。
法事などでは、一本か二本にします。二本というのは、本尊に一本、仏に一本のことです。
告別式でお焼香をする時、大勢の場合は各自が一回、小人数ならば三回します。
要は、あなたの真心が菩提心となって仏に届き、届いた真心は仏の功徳となってあなたに返って来るからなのです。
お線香の元は薫香といって、香木を焚くことにより、仏前を浄め、神秘的で荘厳なる世界を現出する為の方法だったのです。
それが平安時代には感覚的な遊びとして、貴族達が室内で香を焚くようになり、次第に芸術的な世界に高められて行きました。
華道・茶道と並んで香道というのが最近見直されてきたのは、心に潤いのなくなってきた、近代生活のニーズなのです。
人をもてなす場合、室内に名香を焚いて温かく迎える心遣いなど、是非実行したいものでございます。
南無大師遍照金剛