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2008年3月15日更新

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自らを知れ(平成19年3月号)

 3月も終りになりますと、新入学や入社の準備に忙しい若者の多いことと存じます。

 こんな方のために希望に満ちた、人生の門出に当たって「自らを知れ」ということについてお話をします。

 お釈迦様の弟子に槃特という愚者がいた。

 「お前には、むつかしいことはわからないだろうから・・・」といって、釈迦は次に語句を教えた。

 「三業に悪を造らず、諸々の有情を傷めず、正念に空を観ずれば、無益の苦しみは免るべし」

 だが、この言葉が槃特にはどうしても覚えられない。

 ある日彼は力なく釈迦に云った。

 「世尊よ、愚かな私は、とてもあなたのお弟子にしていただく値打ちはございません」

 しかし釈迦はやさしくこれをさとして云った。

 「ちがう、槃特よ、世の中には愚者でありながら自分が愚者であることを知らない者が沢山いる。

 これがほんとうの愚者だ。

 お前は自分で愚者であることを十分知っているのだから、真の愚者ではない。

 ここに1本の箒を与えるから次の語句を覚えなさい」と云って、「塵を払い垢を除かん」と教えた。

 槃特は与えられた1本の箒で、精舎の回りを一心に掃除しながら、長い歳月、その言葉の意味を考えに考えぬいた挙句、ついに心に降りかかる煩悩の塵や垢をはらいのけて、悟りを開き、阿羅漢になることができた。

 釈迦が結衆に向かって、「槃特を見るが良い。

 悟りを開くというのは、決して多くを覚えることではない。

 箒で掃除することひとつでも、そのひとつのことに徹底すれば大悟を得られるのだ」

 と云って、いたく槃特を褒めたということであります。

 諸君、がんばって下さい。

南無大師遍照金剛