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縁日(平成19年11月号)

 もう何年前になるでしょうか、寺の南方の広々とした田圃が区画整理され、隣村との境界に橋がかけられました。

 市の基盤整備を伴った工事なので、市長自筆による記念碑と、地元住民の希望で地蔵菩薩が建立されました。

 橋の開通式に併せて、私に地蔵様の開眼供養の依頼があったのです。

 現地に行ってみると灌漑用の深い掘割りに添った道路に橋が架けられ、向側が交差点になっていました。

 隣り合っている篠塚と中村という地区が共に栄えるようにと共栄橋と名付けられ、その袂に記念碑と地蔵様がありました。

 私は開眼(かいげん)塔婆(とうば)に共栄地蔵と書き、川施餓鬼用に地蔵を現す梵字を書いた紙片を沢山用意して出掛けました。

 もう、市長さんを始め、地元両地区の住民大勢と、来賓名士の方々がテントの中で待ち受けていました。

 碑の除幕の後、花と線香の手向けられた地蔵様の頭頂に加持香水を注ぎ、供養文と読経を済ませた後、橋上から紙の護符を沢山流しました。

 地蔵が子供の身代わりでした。

 式後に、近くの公会堂で祝宴がありましたが、席上私は「お地蔵さまは、この世に在って私どもの生活を、見守って下さる仏様ですから、両地区のみならず、全市民の繁栄、そして交差点での交通安全を見守っていて下さいます。

 更に側溝は危険な流れですから、子供たちが過って落ちないようにお願いしておきました。

 よく、事故が起きてからお地蔵さまを建てる人が多い中で、事前に建立(こんりゅう)する方の心が籠ります。

 この共栄地蔵は村人と共にあり共に栄える地蔵さまですから大切にしてあげて下さい。」とお願いしました。

 すると、住民の誰かが「そんなに有難いお地蔵さんなら、花や団子を供えてお参りしたいが、何日が良いでしょう」と聞きますので「お地蔵さんのご縁日は二十四日ですから、その日がよいでしょう」と答えますと、それをきっかけにご縁日の話になりました。

 観音さまやお不動さま、薬師さまや虚空蔵さまなどご縁日のない仏様はなく、その日にお参りすれば福智倍増につながると云う結論となり、住民一同に元気が出たように見えました。

 偶々(たまたま)クルマで其処を通過する時は、左右の安全を確認しながら不作為的に地蔵様が視野に飛び込んで来て、信号機よりも確かな役目を果している力を感じます。

 「お地蔵様凄いね。これからも頑張ってね」と心の中で語りかけてしまいます。

南無大師遍照金剛