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「おまけ」と「おつり」の文化(平成19年12月号)

 子供の頃、少年クラブに付く「おまけ」が楽しみで、家の手伝いに励んだお駄賃を貯めては毎月町の本屋に買いに行きました。

 家が商人でしたので、母が飴玉一つを「おまけ」に付けていましたが、一銭で飴玉5個という昭和初期の不景気の思い出です。

 ある時、少年クラブの「おまけ」に紐育(ニュ−ヨ−ク)のエンパイヤステ−トビルの模型が付いた時、アメリカって何と素晴らしい国かと夢に見たものですが、その紐育の世界貿易センタ―ビルがテロで崩壊したのを見て諸行無常の凄さに慓(ふる)えました。

 敗戦後、日本はアメリカに追い着き追い越せで、遂に世界第二の経済大国になったものの、欲しい物は何でも買える筈なのに、人の心は不満と不平に荒むばかり、政治も贈収賄の続出、宗教も金の為に人を騙す者が続出するようになり、このままでは日本も破滅するかもしれません。

 こんな時、お大師様の曼荼羅思想に基づく自他円融の精神による「ご宝号念誦運動」が高野山の貧女の一灯の心で、生かされている感謝の実践として示されました。

 参与会員であるI氏は、袋一杯の小銭を寺に持参し、これを役立たせて下さいと差し出すのです。

 そして、遍路さんが来ると、ご詠歌を唱えて接待するのでした。ス−パ−に行けば欲しい物は何でも買えるようになりましたが、一円や五円玉が溜まる「おつり」に感謝の心を託する念誦運動なのです。

 長い闘病生活も同行二人で過ごして来ましたが、ある秋の半ばお大師様に召されました。

 管長様から頂いた感謝状には、現代日本の「おつり文化」に欠けた、物に対する感謝の精神を、詠歌による即事而(そくじに)真(しん)の実践によって立派に貫いた生涯を賛美しているのであります。

南無大師遍照金剛