光明寺 佐光慈豊和尚のテレホン法話
念ずれば花開く(平成20年4月号)
- 四月の声を聞くと、各地から花の便りが届いて心もなごみます。花と云えば、4月8日は花まつりで、お釈迦様(しゃかさま)がお生まれになった日です。
ルンビニ園という美しい花園、マヤ夫人の脇腹からお生まれになったお釈迦様は、天と地を指して、天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)とおっしゃいました。すると、空から甘い雨が降り注いだというのです。この日、お寺にはきれいな花御堂(はなみどう)の中の誕生仏(たんじょうぶつ)に甘茶(あまちゃ)をかけてお祭りします。日本の行事の中で、こんなにも美くしく、しかも、しめやかな行事はありませんね。
お釈迦様の教えの中に、忍辱(にんにく)といって、耐え忍んだり、我慢して待てというのがあります。それは、人間が人間らしくなる為に必要な六波羅密(ろくはらみつ)の修行の一つなのです。
ある日一人の弟子が、「お釈迦様、真の悟(さと)りについて教えてください」と訊ねますと、お釈迦様は、一輪の花をかざしてにっこりと笑って見せました。この姿が仏の悟りの境地(きょうち)を最もよく現わしているのです。
長い冬のさむさや、風雪の厳しさをじっと耐えて待っていればこそ、花は美しく咲くのです。蓮の花は汚い泥水の中から、あの美しい花を咲かせるではありませんか。このように、仏教では忍辱の教えを花に譬(たと)えています。仏前に花を供えてお祈りするのは、忙しさに追われて、つい忘れがちな、耐える待つ心をお誓いするためなのです。
もろもろの菩薩(ぼさつ)たちが持っている花を よくみるがいい 大事なことは何であるかを 花たちは教えてくれるだろう 念ずれば花開く 念ずれば花開く
これはお釈迦様がお説きになった華厳経(けごんぎょう)の心を現わした、坂村真民さんの詩の一節です。
南無大師遍照金剛