弘法大師の御生涯 

​ お遍路と言えば「同行二人」と言われますように、旅を通してお大師様と巡り合い、お大師様に導かれる心持で行脚頂くことがなによりの功徳と言えるでしょう。

 

 一人寂しい修行の旅の間にも、また大勢での行脚の旅でも、必ずお大師様が見守り導いてくださるのだという信心こそが、長い旅路をより豊かなものにしてくださるはずです。旅の間の困難や、何か嫌なことがあったとしても、すべてお大師様の思し召しなのだ、常に見守られ、修行の指導をしてくださっているのだという気持ちで行脚いただくことこそが、満願の御利益の有難さを一層大きなものにしてくださるはずです。

 

 ここではまずはじめに、この「お大師様」である弘法大師空海和上の御生涯について高野山金剛峰寺が保有する「弘法大師行状絵図」とともにご紹介いたします。

 御 誕 生 

​774年(1歳) 6月15日讃岐国の屏風ヶ浦(香川県善通寺市)に生誕。幼名は真魚。父は佐伯直田公。母は玉依御前。

 捨身誓願  

​780年(7歳) 衆生の救済を仏に誓い断崖絶壁(捨身ヶ嶽)より身を投げる。すると天女に救われ、仏門に入ることを心に決める。

 都での勉学 

​791年(18歳) 叔父である儒学者阿刀大足について学び18歳で大学に入る。度々奈良の石淵寺の勤操大徳を訪れて仏教について学ぶ。

 出  家  

​793年(20歳) 大学を中退し和泉国(大阪府)槙尾山寺において勤操大徳を師として出家・剃髪する。僧名は教海。

 大日経の感得

​795年(22歳) 夢告により大和国(奈良県)久米寺より大日経を発見するが理解できず唐に渡ることを決意。

 入唐求法  

​804年(31歳) 7月6日、留学僧として遣唐使の一行と共に、肥前(長崎県)田浦から出帆。度重なる嵐にあうも九死に一生をえて8月10日福州赤岸鎮に漂着。

 恵果和尚に師事

​805年(32歳) 正統の真言密教の継承者である恵果和尚のいる青龍寺を訪ねる。灌頂を受け金剛・胎蔵の両部の大法を伝授され、遍照金剛の法号を授かり真言密教の第8祖となる。

 五筆和尚の称号

​806年(33歳) 唐の皇帝より宮殿の壁に書を書くように命じられる。その時5本の筆を両手・両足・口にはさみ書き上げたことから「五筆和尚」の称号を受ける。

 飛行の三鈷 

​806年(33歳) 帰国後に日本で真言密教を広める道場としてふさわしい場所を求め、明州の浜辺より日本にむけ三鈷杵を投げる。

 立教開宗  

​810年(37歳) 唐から帰国後、修法により混乱した国家を鎮めることを請い、嵯峨天皇より真言宗の開宗を許される。

 清涼殿の八宗論

​813年(40歳) 嵯峨天皇より宮中に招かれ、時の高僧たちに即身成仏を説く。印を結び、真言を唱えると体から五色の光明を発し大日如来の姿となる

 四国八十八ヵ所の開創

​815年(42歳) 壮年期に修行した故郷の四国を遍歴し各地で奇跡や霊験を残し、寺や堂宇を建立し四国八十八ヶ所の霊場を開創する。

 高野山開創  

​816年(43歳) 真言密教の根本道場を開く場所を探していると白黒二匹の犬をつれた狩人に出会う。その犬に導かれ高野山に行き着く。(狩場明神)

 高野山開創  

​816年(43歳) 高野山へ向かう途中、丹生明神の社で明神が姿を現し高野山を授けると告げられる。狩場明神と丹生明神を高野山の地神として祀る。

 高野山開創  

​816年(43歳) 高野山にたどり着くと唐から投げた三鈷杵が松の枝に掛かっているのを発見する。朝廷に上表し嵯峨天皇から許可を賜る

 般若心経を講義

​818年(45歳) 国中に疫病が流行する。嵯峨天皇の詔により祈祷を行い般若心経の講義を行う。天皇自ら写経をし疫病は治まる。(般若心経秘鍵)

 満濃池完成  

​821年(48歳) 幾度となく決壊しては被害をもたらしていた讃岐国満濃池の工事別当を任される。わずか3ヶ月で工事は終わり以後決壊しなくなる。

 東寺御下賜  

​823年(50歳) 嵯峨天皇より東寺を賜る。教王護国寺と称して、皇室の安泰祈願と真言密教の弘通に努める。

 神泉苑の雨乞い

​824年(51歳) 大干ばつによる飢饉となる。淳和天皇の詔により宮中の神泉苑で雨乞いの祈祷を行い三日三晩甘露の雨を降らせる。

 綜芸種智院  

​828年(55歳) 一般の市民が学べる日本初めての学校を開校。お釈迦様の教え「四句の偈」を誰にでもわかりやすい仮名文字で唱えられる「いろは歌」を考案。

 御 入 定  

​835年(62歳) 一切の穀物を断ち身体を浄めて結跏趺坐をし、手に大日如来の定印を結び弥勒菩薩の三昧に入り3月21日入定。

 諡 号 奉 讃

​921年 醍醐天皇より「弘法大師」という諡号と桧皮色の衣を賜る。現在でも毎年3月21日に奥の院御廟にて御みころもがえ衣替の儀式が行われている。